なぜ被用者保険の適用拡大を進める必要があるのか
2024年10月以降、従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が51人以上の企業規模の場合、週の所定労働時間が20時間以上等の要件を満たした場合に、社会保険に加入することになります。この適用拡大について、厚生労働省から短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大に係るQ&Aが公開されました。社会保険事務において参考になる内容ですので、ポイントを押さえておくことが重要です。主なQ&Aの内容は、次のとおりです。
文書作成日:2024.05.19
なぜ被用者保険の適用拡大を進める必要があるのか
政府においては、これまでも法律改正を通じて、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大(以下「適用拡大」という。)の取組を進めてきており、その意義については、以下の点があるとされています。
① 被用者でありながら国民年金・国民健康保険加入となっている者に対して、被用者による支えあいの仕組みである厚生年金保険や健康保険による保障を確保することで、被用者にふさわしい保障を実現すること。
② 労働者の働き方や企業による雇い方の選択において、社会保険制度における取扱いによって選択を歪められたり、不公平を生じたりすることがないようにすること等により、働き方や雇用の選択を歪めない制度を構築すること。
③ 適用拡大によって厚生年金保険の適用対象となった者が、定額の基礎年金に加えて報酬比例給付による保障を受けられるようになること等を通じて、社会保障の機能を強化すること。
※文書作成日時点での法令及び厚生労働省から公表された内容となっております。<免責事項について>
社会保険適用拡大のQ&A
- なぜ被用者保険の適用拡大を進める必要があるのか
- 適用拡大の実施により、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の被保険者資格の取得要件はどのようになるのか。令和6年10月1日からは 何が変わるのか。
- 最初の雇用期間が2月以内である場合は、当該期間を超えて使用されることが見込まれることとして取り扱われることはないのか。
- 使用される被保険者の総数が常時50人を超えるか否かの判定は、適用事業所ごとに行うのか。
- 「被保険者の総数が常時50人を超える」において、被保険者はどのような者を指すのか。適用拡大の対象となる短時間労働者や70歳以上で健康保険のみ加入している被保険者は対象に含めるのか。
- 「被保険者の総数が常時50人を超える」とは、どのような状態を指すのか。どの時点で常時50人を超えると判断することになるのか。
- 特定適用事業所に該当した適用事業所は、どのような手続が必要になってくるか。
- 施行日から特定適用事業所に該当する適用事業所は、どのような手続が必要になってくるか。
- 使用される被保険者の総数が常時50人を超えなくなった場合、どのように取り扱われるか。
- 被保険者の総数が常時50人を超えない企業で、適用拡大をすることは可能か。
- 任意特定適用事業所の労使合意に必要となる「働いている方々の2分の1以上の同意」とは具体的にどのようなものか。
- 1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合とはどのような場合か。また、そのような場合は1週間の所定労働時間をどのように算出すればよいか。
- 所定労働時間が1か月単位で定められている場合、1週間の所定労働時間をどのように算出すればよいか。
- 特定の月の所定労働時間に例外的な長短がある場合とはどのような場合か。また、そのような場合は1週間の所定労働時間をどのように算出すればよいか。
- 所定労働時間が1年単位で定められている場合、1週間の所定労働時間をどのように算出すればよいか。
- 就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間が週20時間未満である者が、業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が週20時間以上となった場合は、どのように取り扱うのか。また、施行日前から当該状態であった場合は、施行日から被保険者の資格を取得するのか。
- 「学生でないこと」について、学生とはどのような者を指すのか。通信制課程に在学する者は対象となるのか。
- 学生については、4分の3基準に該当していても、学生という理由のみをもって健康保険・厚生年金保険の被保険者とならないのか。
- 短時間労働者の厚生年金保険・健康保険の適用については、所定内賃金が月額8.8万円以上であるほかに、年収が106万円以上であるかないかも勘案するのか。
- 健康保険の被扶養者として認定されるための要件の一つに、年収が130万円未満であることという収入要件があるが、この要件に変更があるのか。
- 所定内賃金が月額8.8万円以上かの算定対象となる賃金には、どのようなものが含まれるのか。
- 就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間が週20時間以上で、 かつ所定内賃金が月額8.8万円未満である者が、業務の都合等により恒常的に 実際の労働時間が増加し、賃金が月額8.8万円以上となった場合は、どのように取り扱うのか。
- 食事や住宅等を現物で給付している場合、それらは所定内賃金が月額8.8万円以上の算定対象となる賃金に含まれるのか。
- 個別の雇用契約等に基づいて所定内賃金を算出する場合で、所定労働時間が1週間単位で定められている場合、所定内賃金をどのように算出すればよいか。
- 日給や時間給によって賃金が定められている場合は、どのように算出すればよいか。
- 短時間労働者として届出を行った場合「所定内賃金が月額8.8万円以上」に該当するかどうかは、各労働者について毎月確認する必要があるのか。また、被保険者資格を取得後に所定内賃金が月額8.8万円未満となった場合は、被保険者資格は喪失するのか。