所定の期間を超え、引き続き使用される者の適用除外について
厚生年金保険をはじめとした社会保険の取扱いは、法令や通達等により定められていますが、実務を進める上では、その判断に迷うことが少なくありません。日本年金機構より社会保険の取り扱い業務に際して、法令、諸規程等の解釈又は取扱方法が不明確なときに発生する疑義に対して、各年金事務所等から本部に寄せられた内容とその回答が公表されています。社会保険事務において参考になる内容ですので、ポイントを押さえておくことが重要です。疑義照会と回答の内容は、次のとおりです。
文書作成日:2023.05.06
所定の期間を超え、引き続き使用される者の適用除外について
「2ヵ月以内の期間を定めて使用される者」と「所定の期間を超えて引き続き使用される場合は、その日から被保険者資格を取得する」の解釈について照会します。
従来から、所定の期間とは雇用するとき契約により定めた雇用期間であり、所定期間終了後引き続き使用されるとは、単に所定の期間を超えればただちに強制被保険者に移行すると解すべきではなく、その使用関係の実態が、常用労働者の性格を帯びたか否かという点から、引き続き使用されるという継続性を認定する必要があると解釈されていますが、「継続性を認定する必要」という判断の目安が結果として「2ヵ月→2月以内」と解釈してよいでしょうか。
臨時に使用される者であっても、その使用される状態が常用化したときは被保険者として取り扱うことになります。2月以内の期間を定めて使用される者であれば、所定の期間を超えて引き続き使用される場合は、常用的使用関係となったとして、その超えるに至った日から被保険者になるものとされています。
つまり、引き続き使用されるという継続性の認定は、一時的に 2月以内の期間を定めて使用される「日雇特例被保険者」又は「日雇特例被保険者の適用除外を受けた者」が、その所定の期間経過後において、臨時的使用関係から常用的使用関係に移行したか否かにより判断することになり、使用関係の実態に即して実質的に判断することになります。
したがって、本件については、引き続き使用されるという継続性を画一的に当初の雇用期間と延長期間により判断するものではなく、あくまでも雇用契約における使用関係の実態から常用的使用関係に移行したか否かを判断することになります。例えば、当初 2ヵ月以内の雇用契約であった者が、その雇用期間経過後、海外転居するまでの 1ヵ月間に限って臨時的に雇用契約が更新され、その後は契約更新されない場合には、引き続き使用されるという継続性は認められず、常用的使用関係に移行していないことから、被保険者として適用しないことになります。
なお、臨時的名目によって使用されていても、当初から使用関係の実態が一定期間ごとに雇用契約を更新させるような状態であって、その実態が常用的であれば、臨時に使用される者とは認められず、雇入れの当初から被保険者となります。
※文書作成日時点での法令及び日本年金機構から公表された内容となっております。<免責事項について>
日本年金機構公表の疑義照会と回答
- 2月以内の期間を定めて使用される者の被保険者資格について|被保険者 資格取得届
- 所定の期間を超え、引き続き使用される者の適用除外について|被保険者 資格取得届
- 法人の代表者の被保険者資格について|被保険者 資格取得届
- 雇入れ日が公休日である場合の被保険者資格取得日の取扱いについて|被保険者 資格取得届
- 最低賃金法適用除外者等に係る対応について|被保険者 資格取得届
- 報酬の範囲について(大入袋の取扱い)
- 報酬の範囲について(ガソリン代)
- 報酬及び賞与の範囲(財形奨励金)について
- 扶養認定日について
- 夫婦共同扶養の場合の被扶養者の認定について
- 自営業者等収入がある者の健康保険被扶養者の認定について
- 被扶養者認定の際の収入について
- 給与計算期間途中の昇給に伴う月額変更届の取扱い
- 2つ以上の固定的賃金が変動した場合の月額変更届について
- 事前確定届出給与について
- 確定拠出年金に係る報酬月額変更について
- 時間給制の被保険者の勤務時間の変更と随時改定について
- 標準報酬月額変更の該当要件について(懲戒処分)
- 短時間勤務に係る随時改定について