夫婦共同扶養の場合の
被扶養者の認定について

厚生年金保険をはじめとした社会保険の取扱いは、法令や通達等により定められていますが、実務を進める上では、その判断に迷うことが少なくありません。日本年金機構より社会保険の取り扱い業務に際して、法令、諸規程等の解釈又は取扱方法が不明確なときに発生する疑義に対して、各年金事務所等から本部に寄せられた内容とその回答が公表されています。社会保険事務において参考になる内容ですので、ポイントを押さえておくことが重要です。疑義照会と回答の内容は、次のとおりです。

文書作成日:2023.05.06

夫婦共同扶養の場合の被扶養者の認定について

当初は夫の両親2人と子3人が夫の被扶養者でしたが、子3人を夫の扶養から妻の扶養へ異動することとした異動届が提出されました。
夫婦、夫の両親、子3人は同居しています。この場合、夫婦間で両親と子3人を分けて扶養することになりますが、認定は可能でしょうか。

夫婦が共同して扶養している場合における被扶養者の認定に当たっては、夫婦いずれの被扶養者にするかについて、年間収入の多少を認定に当たっての判断材料として、家計の実態、社会通念等を総合的に勘案して行うことと通知(以下「夫婦共同扶養取扱い通知」という。)されています。(「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(昭和60年6月13日保険発第66号・庁保険発第22号)、「政府管掌健康保険における夫婦共同扶養の場合の被扶養者の認定に係る取扱いについて」(平成16年6月17日庁保険発第0617001号))

また、家計とは、一家の生計を維持するために行われる家政経済の経営及びその秩序であると定義され、家庭経済の単位であり、日常の消費生活単位であるとされています。

本件については、同居する被扶養者を夫婦が共同で扶養しているならば、夫婦として一つの家計を維持していることになり、一つの家計の単位で家族の生計を主として維持する者を決定すべきであることから、夫婦共同扶養取扱い通知により、被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、原則夫婦いずれか一方を家族の生計を主として維持する者として取り扱うことになります。

したがって、それぞれの被扶養者が夫婦いずれか一方の収入で生活を営み、明らかにその生計の基礎をいずれか一方に置いていると認められる場合を除き、夫妻双方に分けて被扶養者を認定することはできません。

※文書作成日時点での法令及び日本年金機構から公表された内容となっております。<免責事項について>

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