自営業者等収入がある者の
健康保険被扶養者の認定について
厚生年金保険をはじめとした社会保険の取扱いは、法令や通達等により定められていますが、実務を進める上では、その判断に迷うことが少なくありません。日本年金機構より社会保険の取り扱い業務に際して、法令、諸規程等の解釈又は取扱方法が不明確なときに発生する疑義に対して、各年金事務所等から本部に寄せられた内容とその回答が公表されています。社会保険事務において参考になる内容ですので、ポイントを押さえておくことが重要です。疑義照会と回答の内容は、次のとおりです。
文書作成日:2023.05.06
自営業者等収入がある者の健康保険被扶養者の認定について
認定対象者が自営業を行っている場合、直近の確定申告書のコピーにより「収入金額」から「当該遂行のための必要経費」を控除した額で、健康保険被扶養者の認定の可否を判断しています。
確定申告書の収支内訳書の経費に計上される「減価償却費」について、「当該遂行のための必要経費」に該当するのか否かの判断について、ご教示ください。健康保険の扶養認定基準については、昭和52年4月6日保発第9号・庁険発第9号により、収入基準を定めているところであり、収入の算定については、昭和61年4月1日庁保険発第18号と同様の扱いをしているところです。
通知において、年間収入とは、「認定対象者が被扶養配偶者に該当する時点での恒常的な収入の状況により算定することと」されており、また、収入の算定に当たっては、「恒常的な収入のうち資産所得、事業所得などで所得を得るために経費を要するものについては、社会通念上、明らかに当該所得を得るために必要と認められる経費に限りその実額を総額控除し、当該控除後の額をもって収入とすること」とされています。
ご照会の減価償却費の計算の基となる資産に対する支出が、必要な経費かどうか具体的な内容についての記載がないため一概に判断できませんが、仮に必要な経費と認められる場合においても、確定申告書上に項目がある減価償却費は、社会通念上明らかに当該所得を得るために必要と認められる経費の実額ではないため、恒常的な収入から控除することはできません。
確定申告書のコピーが添付されている場合は、控除額の所得を判断するのでなく、総収入から売上原価を差し引いた項目を基準とし、そこから社会通念上、明らかに当該所得を得るための必要経費を控除した額により判断してください。
(なお、当該所得を得るための必要経費については、事業等が異なるため、一律な整理には馴染みませんが、必要経費について疑義が生じた場合は、実態を聞き取ったうえで、具体的事例に基づきご照会ください。)
※文書作成日時点での法令及び日本年金機構から公表された内容となっております。<免責事項について>
日本年金機構公表の疑義照会と回答
- 2月以内の期間を定めて使用される者の被保険者資格について|被保険者 資格取得届
- 所定の期間を超え、引き続き使用される者の適用除外について|被保険者 資格取得届
- 法人の代表者の被保険者資格について|被保険者 資格取得届
- 雇入れ日が公休日である場合の被保険者資格取得日の取扱いについて|被保険者 資格取得届
- 最低賃金法適用除外者等に係る対応について|被保険者 資格取得届
- 報酬の範囲について(大入袋の取扱い)
- 報酬の範囲について(ガソリン代)
- 報酬及び賞与の範囲(財形奨励金)について
- 扶養認定日について
- 夫婦共同扶養の場合の被扶養者の認定について
- 自営業者等収入がある者の健康保険被扶養者の認定について
- 被扶養者認定の際の収入について
- 給与計算期間途中の昇給に伴う月額変更届の取扱い
- 2つ以上の固定的賃金が変動した場合の月額変更届について
- 事前確定届出給与について
- 確定拠出年金に係る報酬月額変更について
- 時間給制の被保険者の勤務時間の変更と随時改定について
- 標準報酬月額変更の該当要件について(懲戒処分)
- 短時間勤務に係る随時改定について