U福祉会事件 名古屋地裁 
平成17年4月27日判決

使用者の不法行為
(特殊の不法行為:使用者責任)
責任が問われた裁判例

事案の概要
社会福祉法人Y1の職員であるXが、職場の施設で開催された職員会議において、同僚5人(Y2~Y6)を中心とする職員らにより、組織ぐるみで誹謗・非難された結果、心因反応に罹患した上、PTSDを発症し、精神的損害を被ったとして、Y1の不法行為及び使用者責任と同僚らの不法行為が共同不法行為関係にあたるとして慰謝料の連帯支払い等を求めた。
結果
請求の一部認容。連帯して慰謝料 500 万円。
判旨の概要
職員会議においては、Y2らが中心となって、B労組を脱退しユニオンに加入したXを非難、糾弾する発言(「残念なことに綱領は認められないという職員が出ました。X看護婦です。」、「綱領を否定することは、施設の管理職として、事業に責任を持つ所長として、仲間たちに責任を持つ者として、認めることはできない。」等)をしたばかりか、職員会議に参加した職員らを誘導・扇動し、施設の職員の多くが、Xを非難する内容の発言をしたものであり、その結果、Xは精神的疾患に罹患し、休職を余儀なくされた。

Y2らの発言内容及びY2らが他の職員を誘導、扇動したことによる各職員の発言内容に照らせば、Y2らの行為はY1の職員及び労働組合員としての正当な言論活動の範囲を逸脱するものといわざるを得ず、違法にXの人格権を侵害したものというべきである。

したがってY2らは、共同でXに対する不法行為を行ったものであり、連帯してXに対する不法行為責任を負うというべきである。

職員会議がY1の施設単位で行われる会議であり、施設長によって主催されるものであることなどに照らせば、本件職員会議におけるY2らの不法行為が、Y1の事業執行についてされたものであることは明らかであるため、Y1はY2らの不法行為について、民法 715 条に基づき、使用者責任を負う。

パワーハラスメントの裁判事例

使用者の不法行為(一般の不法行為)
責任が問われた裁判例

東京地方裁判所バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件 
東京地裁 平成7年12月4日判決
東京高等裁判所松蔭学園事件 
東京高裁 平成5年11月12日判決
東京地方裁判所ティーエムピーワールドワイド事件 
東京地裁 平成22年9月14日判決
最高裁判所関西電力事件 
最高裁判所第三小法廷 平成7年9月5日判決

使用者の不法行為(特殊の不法行為:
使用者責任)責任が問われた裁判例

名古屋地方裁判所U福祉会事件 
名古屋地裁 平成17年4月27日判決

        
横浜地方裁判所ダイエー事件 
横浜地裁 平成2年5月29日判決
    

使用者の債務不履行責任(安全配慮義務違反)が問われた裁判例

東京高等裁判所川崎市水道局(いじめ自殺)事件     
東京高裁 平成15年3月25日判決
福岡高等裁判所長崎・海上自衛隊員自殺事件 
福岡高裁 平成20年8月25日判決
埼玉地方裁判所誠昇会北本共済病院事件 
埼玉地裁 平成16年9月24日判決
高松高等裁判所前田建設事件 高松高裁 
平成21年4月23日判決

当事者の責任が問われた裁判例

東京高等裁判所
三井住友海上火災保険上司事件
東京高裁 平成17年4月20日判決
     
大阪高等裁判所
奈良医大アカデミックハラスメント事件 
大阪高裁 平成14年1月29日判決

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